・コミュニティだからできる4つのこと
いまは、コミュニティにもさまざまなタイプや規模があります。
前回のコラムでは、給与をもらって働く「会社」と、会費を払って参加する「コミュニティ」の違いについてお話ししました。
「コミュニティ」を、なんとなくふんわりととらえていた人も、少しずつ、その定義や役割が明確になってきたのではないでしょうか。
会社組織ではなく、この「コミュニティ」だからこそ、主催者がメンバーにできることが、大きく4つあります。
それは
1 心理的動機づけ
2 目標達成支援
3 チャレンジする文化
4 業務効率化
という4つです。
ここからひとつずつ見ていきましょう。
1 心理的動機づけ
・安心、安全な場として、何でも話せる環境をつくる
・家庭、職場以外の第3の場所として、居心地がよい
・ここへ来ればワクワクする
・夢を語れば応援してくれる
2 目標達成支援
・自分のやりたいことが見つかる
・学んですぐに、実践の場がある
・得意な分野で手をあげると、リーダーになれる
・3ヵ月単位で目標設定を共有する
3 チャレンジする文化
・グランドルールがあるので、判断に迷うときには行動基準を参考にする
・ちょっと上の先輩が、マイルストーンになる
・チャレンジすることを認め合い、応援・紹介してもらえる
・失敗を共有できる
4 業務効率化
・自分のステージがわかるので、取り組むことを絞り込める
・標準化されたマニュアルがある
・e-Learning(eラーニング)への移行のひな型がある
・相互支援するしくみがある
これらは、仲間と取り組んでいくコミュニティだからこそ提供できるものです。
この4つを提供することが、よりコミュニティメンバーが自分で考え、判断、行動、自己管理し、結果を出す「自走するコミュニティ」づくりにもつながっていきます。
・メンバーがチャレンジできる環境に必要な運営組織
いつでも安心してチャレンジできる環境を用意することは、コミュニティ主催者としてとても大切な役割です。
わたしたちのコミュニティでは、そのために5つの運営組織をつくっているので、それもご紹介しましょう。
1 運営委員会
設立当初、メンバー間のコミュニケーション、個人のスキル、コミュニティへの要望などを把握するために運営委員会を募集。
月に1回、運営委員会として、コミュニティの方向性を決める会議を開催。
主催者とメンバーの距離感がつかめなかったので、関係性の深いメンバーに立候補してもらいました。
2 サポーター制度
講座で数名単位のチームをつくり、オンラインフェスティバルまで一緒に、集客、ITスキル、コンテンツづくりを行います。
メンバーが不安に思うことを相談できる先輩であり、実践会メンバーのサポーターとして、各チームにひとり参加してもらいました。
これは、チームリーダーと二人三脚でチームをゴールに導くには、欠かせない制度です。現在も、2週間に一度、サポーター会議を開催しています。
このように、教える→学ぶという関係だけでなく、メンバーが得意な分野でリーダーになり、いろいろなことにチャレンジするしくみを設けることが大切なのです。
・安心して失敗できる環境をつくる
チャレンジの結果は、「成功」ばかりではなく、当然「失敗」もつきものですよね。
失敗は、チャレンジしているからこそ味わえる特権です。
わたしたち主催者は、
「コミュニティオーナー会は、たくさん失敗する場」
「ここでは、失敗が財産になる」
と伝えて、積極的にチャレンジできる場を提供しています。
安心して失敗できると思うと、チャレンジする人がどんどん増えていき、コミュニティ自体が活性化していくものです。
コミュニティでは、チャレンジを応援し合い、失敗しても
「別の方法で再チャレンジしてみよう!」
と思える安心安全の場づくりを心がけましょう。
わたしたちのコミュニティでは、チャレンジして失敗したことが称賛されます。
「こんなチャレンジをした結果、こんな失敗をしました!」
と、たくさん失敗した人が尊敬を集め、「信用」を貯めていくのです。
「お金」ではなく、「信用」を集めた人が豊かになるしくみをつくり出すと、失敗自体が財産になるコミュニティになっていくでしょう。
・まず、成功している人の元で学ぶ
コミュニティをつくるには、まず、成功しているコミュニティに入ることがポイントです。
そして、できればその運営側にもなってみましょう。
自動車の運転は、テキストをいくら読んでもできるようにはなりませんよね。
教習所に入り、実際に安全なところで運転して、小さな成功、失敗をたくさん経験します。
そうして、外に出て運転ができるようになっていくものです。
コミュニティの運営も自動車の運転と同じこと。
成功しているコミュニティに入り、学ぶ→サポートする→運営する→ファシリテートするという経験を積み重ねることで、成果を得られるのです。
誰でも最初は失敗することに抵抗があるものです。
だからこそ、実際に
「失敗しても大丈夫」
「失敗をシェアすることで『信用』を集められた。成長できた」
という環境に身を置き、成功体験をすることによって、自らも「失敗が財産になるコミュニティ」をつくれるようになるのです。
「失敗」を恐れずにチャレンジができるようになると、自分自身も、コミュニティメンバーも大きく成長できるようになるでしょう。
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